「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index, GPCI)は、国際的な都市間競争において、人や企業を惹きつける“磁力”は、その都市が有する総合的な力によって生み出されるという考えに基づき作成されたものである。GPCIでは、世界の主要都市の「総合力」を経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で複眼的に評価し、順位付けしている。GPCIは、順位そのものだけでなく、ランキングの構成要素を分析することで、変わりつつある世界の中で、各都市がどのような強みや弱み、課題を有しているのかを詳細に把握することができる。
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トップ10の順位は昨年から変化がなかった。トップ3については、ロンドン、ニューヨーク、東京と比べて、パリのスコアの下落幅が小さく、東京とパリとのスコア差が再び縮まった。パリは2015年の同時多発テロ以降、スコアが下落傾向にあったが、2017年の2024パリ五輪決定以降、上向きつつある。新規に追加した4 都市(メルボルン、ヘルシンキ、ダブリン、テルアビブ)の中では、メルボルンが11位で最も高かった。
ロンドンは8年連続で1位を維持したものの、今年は総合力を落とす結果となった。2016年のEU離脱国民投票後もスコアを伸ばし独走を続けていたが、混迷する離脱交渉の影響を示すかのように今年は経済の「世界トップ500企業」でスコアを落とした。一方で、文化・交流は16 指標中12の指標でトップ5 位以内に入っており、依然として卓抜した強さを有している。
ニューヨークは「GDP」や「証券取引所の株式時価総額」、「スタートアップ環境」などの指標で高い評 価を得た結果、経済と研究・開発で今年も1位を堅持した。また、文化・交流と交通・アクセスもそれぞれ2 位、3 位と高い評価を得た。しかし、文化・交流における「外国人居住者数」は過去3年間人数が減少傾向であることから、国内外の都市へ外国人が流出していることが伺える。
トップ2都市と同様、東京も昨年と比べて総合スコアを落とす結果となったが3 位は維持した。4 位のパリもスコアを落としているが、東京と比べてスコアの下落幅が小さいため、東京とパリとの間のスコア差が再び縮まった。東京は総合力が非常に高い都市ではあるものの、圧倒的に強い分野はなく、逆に極端に弱い分野もないことから、バランス型の都市としての様相がますます強まりつつある。
ロンドン、ニューヨーク、 東京と比べて、パリのスコアの下落幅が小さく、 東京とパリとのスコア差が再び縮まった。パリは 2015年の同時多発テロ以降、スコアが下落傾向 にあったが、2017年の2024パリ五輪決定以降、 上向きつつある。
『世界の都市総合力ランキング2019概要版』には、総合ランキングや分野別ランキングの解説や、指標の一覧と定義、アクター視点評価、特別寄稿、特集研究などを掲載しています。
日英併記
書籍版:本体価格 18,500円+税
PDF版:本体価格 15,000円+税
「世界の都市総合力ランキング 2019」の調査方法、今年の結果の分析、都市別のデータ、指標の定義や出典などの詳細は本書をお求めください。
「世界の都市総合力ランキング(GPCI)」に関するお問い合わせは iusall@mori-m-foundation.or.jp まで
世界の都市総合力ランキングの詳細な調査結果は、概要版およびYEARBOOKをご覧ください。概要版は、下記よりPDFのダウンロードが可能です。YEARBOOKは、GPCIの調査方法、データ・ソース一覧、各都市のスコア・順位の分析などを掲載しています。