「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index, GPCI)は、地球規模で展開される都市間競争下において、より魅力的でクリエイティブな人々や企業を世界中から惹きつける、いわば都市の“磁力”こそが「都市の総合力」であるとの観点に立ち、世界の主要都市の総合力を評価し、順位付けしたものである。世界を代表する主要40都市を選定し、都市の力を表す6分野(「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」)における70の指標に基づいて評価を行った。
40都市の詳細結果は、デスクトップ版をご覧ください。
London
New York
Paris
Tokyo
Singapore
Seoul
Amsterdam
Berlin
Hongkong
Vienna
Frankfurt
Zurich
Sydney
Beijing
Shanghai
Stockholm
Toronto
Copenhagen
Madrid
Los Angeles
Istanbul
Vancouver
Brussels
Washington, D.C.
Milan
Osaka
Barcelona
Geneva
Bangkok
Boston
Chicago
San Francisco
Taipei
Kuala Lumpur
Moscow
Fukuoka
Mexico City
Sao Paulo
Mumbai
Cairo
London
Paris
Tokyo
Singapore
Seoul
Amsterdam
Berlin
Hongkong
Vienna
Frankfurt
Zurich
Sydney
Beijing
Shanghai
Stockholm
Toronto
Copenhagen
Madrid
Los Angeles
Istanbul
Vancouver
Brussels
Washington, D.C.
Milan
Osaka
Barcelona
Geneva
Bangkok
Boston
Chicago
San Francisco
Taipei
Kuala Lumpur
Moscow
Fukuoka
Mexico City
Sao Paulo
Mumbai
Cairo
40
2014
4
2013
4
2012
4
2011
4

ロンドンは2012年以降、総合ランキング1位を維持している。居住、環境以外は全て3位以内に入っており、総合力が非常に高い都市であるといえる。ロンドンは、2012年のオリンピックに向けた都市整備や文化イベントの開催等により、その都市総合力を大きく伸ばした。
ニューヨークは2012年に総合ランキング1位の座をロンドンに明け渡して以降、4年連続で2位を維持している。研究・開発や文化・交流、経済はそれぞれ3位以内に入っているものの、居住や環境、交通・アクセスの評価が低い。
パリは2008年から継続して総合ランキング3位を維持してきた。トップ4都市の中では経済は最も弱いが、居住、交通・アクセス、文化・交流、研究・開発はそれぞれ5位以内と、安定的な強さをみせている。
東京は総合ランキングでは、最初のGPCIの発表(2008)以降、4位を維持している。アジア1位の座は堅持しているが、トップ3都市と比べると文化・交流や交通・アクセスが弱みとなっている。
東京(1位)、ロンドン(2位)、ニューヨーク(3位)が、 「市場の規模」 や 「ビジネスの容易性」で高スコアを得て、上位にランクインした。 <優秀な人材の確保の容易性>では、北米の各都市、ロンドン、シンガポールといった英語圏の都市が優れた評価を得ている。
ニューヨーク(1位)がスコアで突出しており、これに東京、ロンドン、ロサンゼルスが続いている。 ロサンゼルス(4位)には、カリフォルニア工科大学など世界有数の教育機関が所在し、<世界トップ200大学>、<主要科学技術賞受賞者数>、<研究者数>、<研究開発費>で高い評価を得ている。
文化・交流のトップ5都市は、ロンドン、ニューヨーク、パリ、シンガポール、東京の順となった。ロンドン(1位)は、全ての指標で高評価を得ており、2位以下の都市を大きく引き離している。
経済や文化・交流で上位に位置しているロンドン、ニューヨーク、東京は、居住での順位は相対的に低い。これは、経済や文化機能が都市に集積しているため、<賃貸住宅平均賃料>や<物価水準>といった「居住コスト」が高くなり、居住のスコアを下げているからである。 パリは、「居住コスト」がそれほど高くなく、昨年同様1位となった。
上位5位はすべてヨーロッパの都市(ジュネーブ、フランクフルト、ストックホルム、チューリッヒ、ウィーン)が占める。<CO2排出量>や<リサイクル率>、<再生可能エネルギーの比率>で高い評価を得ており、環境政策の先進性がうかがえる。
最初のGPCI発表(2008)以降、交通・アクセスではロンドンとパリが首位を争ってきたが、今年はパリが1位となった。これは、<人口当たり交通事故死亡者数の増加>など、ロンドンの評価が全体的に下がったためである。
さらに現代の都市活動を牽引する4つのグローバルアクター(「経営者」「研究者」「アーティスト」「観光客」)および都市の「生活者」を加えた合計5つのアクターの視点に基づき、これらのアクターのニーズに対応する都市の指標を用いて複眼的に都市の総合力を評価しています。
詳しくはPublicationsをご覧ください。
世界の都市総合力ランキングの詳細な調査結果は、概要版およびYEARBOOKをご覧ください。概要版は、下記よりPDFのダウンロードが可能です。YEARBOOKは、GPCIの調査方法、データ・ソース一覧、各都市のスコア・順位の分析などを掲載しています。
COMMENTS FROM URBAN EXPERTS
東京は、伝統と革新が交差しながら常に新しいスタイルを生み出す街である。また、美しい水辺空間や、多様な食の魅力に富む街でもある。この東京を、さらに快適で楽しい、ゆとりある成熟都市とすることが私の目標であり、そのため、現在、「水素社会」や「世界で初めての渋滞のない大都市」の実現、「男性も女性も皆が活躍できる社会」の構築などの取組を積極的に進めている。ロンドンは2012年のオリンピック・パラリンピック大会の成功により世界一となったが、東京も2020年東京大会の開催を契機として、取組をさらに加速化させ、「世界一の都市」を実現していく。
舛添 要一
東京都知事
繁栄する経済、比類なき文化活動、多数のトップ・スポーツ施設、世界最高水準の大学、低い犯罪発生率などをはじめとして、さまざまな優れた特長をもつロンドンが、世界の都市を圧倒し続けているとしても不思議なことではない。記録的な成長を遂げるロンドンが、これから数十年後も世界の中心都市であり続けるため、私たちは新たな住宅建設やインフラ整備に懸命に取り組んでいる。
ボリス・ジョンソン
ロンドン市長
ロンドンは都市のグローバルなヒエラルキーにおける地位を維持し続けている。ソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)やペンション・ファンド、そして個人投資家は、ロンドンの不動産を流動的な国際投資の安全地帯と捉えている。ロンドンの住宅市場がひきつけているのは、特にロシア、アジア、そして中東の投資家である。ロンドンは2012年のオリンピックやラグビー・ワールド・カップなどのイベントを通じて旅行者数を増加させている。また、新たな交通インフラ投資である「クロスレール」をはじめとして、ロンドンを歩行者や自転車にやさしい街にするためのさまざまなプロジェクトが進行中である。今後の数年間には、公共交通、空港キャパシティの整備、廉価な住宅の供給、そして中央政府の決定権の地方移譲などが、ロンドンにとっての最大の課題となるだろう。それは2016年に選ばれる次期市長の課題でもある。
ピーター・ビショップ
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン教授
ロンドンは、再開発と交通インフラへの投資によって根本的な変化を遂げたが、現在もその長期的な循環の成果を享受している。2015年版の「世界の都市総合力ランキング」(GPCI)は、ロンドンが持つ訪問者や投資家に対するブランド力、高等教育や文化におけるグローバルな中心としての地位、そして資本や人材にとってのセイフ・ヘイブン(安全地帯)としての名声を、はっきりと示している。ロンドンの指導者たちは、インフラ投資やその整備によって、今後も増大を続ける人口を包摂するための長期的な計画を立てているが、このことは都市の中心部を稠密化し、郊外においてより活発な開発を行うことを意味する。ロンドンの経済は、技術、医療、そして映像産業の大きな成長によって多様化しつつある。GPCI-2015はロンドンをはじめとする都市で、その成功に伴って廉価な住宅供給に対するニーズが高まっていることを明らかにしている。教育、安全、そして交通の側面において大きく前進したロンドンにとっては、喫緊の住宅問題、そして大気汚染や公衆衛生に関する問題と取り組むことが重要な挑戦となっている。
グレッグ・クラーク
ビジネス・オブ・シティーズ 会長
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン 客員教授
2015年版の「世界の都市総合力ランキング」(GPCI)は、グローバル都市のランキングだけでなく、順位変動に影響をもたらした要因についても貴重な知見をもたらしてくれる。たとえば、いくつかの北米都市は、インフラや生活の質に対する投資によって顕著な改善を示しており、ロサンゼルスなどの都市が大きく順位を向上させている。反対に、北京や上海においては、急速な都市化の負の影響によって生活の質が低下していることが見てとれる。このことの含意は明確である。つまり、グローバル都市がますます流動化する人的資源の獲得競争で優位に立つためには、優れたデザイン、効率的なインフラ、清潔な環境、そして多様な文化的機会の提供を通じて、住民や企業にとっての生活の質を高めなければならないということである。
ヴィシャーン・チャクラバーティ
SHoPアーキテクツ プリンシパル
コロンビア大学 実務教授
「世界の都市総合力ランキング」の2015年版によれば、パリは「居住」(Livability)分野において世界で1位の評価を得ている。これはパリに存在する固有のすぐれた建築や都市の遺産にもよっているだろう。しかし、経済的な魅力という側面においては、いまだ課題を抱えている。
新たな経済を育んでいくための第一の都市戦略は、すでに勢いを得ようとしている。「パリ大都市圏」という新たな行政組織が2016年の1月1日に発足するからである。私はパリの歴史的な中心部においてさえも建築や都市の大規模な刷新を行うことができると信じている。パリの順位にとって建築・都市遺産は大きな役割を果たしているが、その遺産を保存しながらこのような刷新を行うために、私はこの都市がその表層の下に備える、広大で潜在性にあふれた土地(つまり地下)を探求することを提案したい。
ドミニク・ペロー
建築家・都市計画家
第27回高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門)受賞者
東京は比較的新しく、優れた建築ストックの恩恵を受けている。それらは現代の生活水準にふさわしいと考えられる。集合住宅は便利であるし、オフィス・タワーは効率的で、さらに商業施設も活気にあふれている。交通ネットワークは洗練され、公園や緑地も十分にあり、あらゆるものが清潔でよく管理されている。東京の生活はスムースで、たいていは安心感に包まれている。
しかし、東京はこの堅固な基礎の上に文化的なスパークを起こさなければならない。人々はいつの時代にもまして、情緒的に豊かな時間を渇望しており、いつまでも思い出に残るインスピレーションに満ちた経験を求めている。これは新しいラグジュリーなのである。
東京は「畏(おそ)れ」さえ感じるようなアイコニックな建物を必要としている。また、食、アート、デザイン、そして音楽など、この土地に深く根差した文化を内外に示さなくてはならない。たとえば、それは日本の優れた産業デザインを展示するデザイン・ミュージアムのような形をとるかもしれない。あるいは着物から現在の優れた日本の服飾文化を示すファッション・ミュージアム、あるいは日本映画ミュージアム、あるいは日本車ミュージアムでもいい。キーワードは「楽しみ」(Pleasure)であるべきだ。それさえあれば、イノベーションや投資は自ずからついてくるのだから。
アストリッド・クライン
建築家 クライン・ダイサム・アーキテクチャ共同創設者