まちづくりと子育ての連携

研究の目的(ねらい)
少子化、子育て支援が日本全体の大きな課題となっている現在、距離があると思われる「まちづくり施策、都市政策」と「子育て支援関連施策」の連動・連携が進めば、子育て世帯や地域社会に喜ばれることは多々あるのではないかという観点から調査研究を行う。
そのため、「まちづくり施策・都市政策」と、「子育て支援策」との「スキマ」を特定するとともに、その発生原因を分析し、放っておいて良い(仕方のない)スキマと埋めると地域社会に何かいい効果がありそうなスキマの仕分けを行い、相互連携の手法と効果を検討する。
「スキマ」の一例
①子育て世帯の居住が郊外に拡散している現実と、自治体の中心市街地活性化計画や立地適正化計画等との間のスキマ
②地方自治体のまちづくり関連部局と子育て・教育関連部局との共通言語、共通認識のスキマ
③いくつかの地方自治体が制度化している子育てしやすい住宅の認定制度の目的・理念と実際の効果のギャップ
スキマを埋める連携策の調査研究の具体例
①子育て世帯の居住が郊外に拡散している現実と、自治体の中心市街地活性化計画や立地適正化計画等との間のスキマ
【スキマが生じる原因】
・車庫もあり価格的に手が届きやすい(かつ新築の)戸建て住宅は郊外に多い、中心地の物件は手が出にくい、空家リフォーム物件も市場に出にくい
・都市計画的な「ムチ」は行いにくい
【連携手法の案】
・都市計画(立地適正化計画)の方向性と、良好な既存子育てインフラ、子育て支援策をつなぐ政策的誘導「ツール」として、都市構造上残したいが在籍児童数が極めて少ない小学校の周囲で、子育て世帯だけが子育て期間だけ入居できる「子育て支援サービス付き賃貸住宅(仮称)」の整備、既存空家活用を政策的に推進する
【効果】
・中心市街地にある既存の子育てインフラ(特に学校など)を維持できる(廃校にするための行政コストや職員の手間の削減)
・「母校」の維持のために戸建て等の空家物件を提供してもらうことを促すことで、空家の解消及び家主の賃料収入の確保ができる
②地方自治体の都市関連部局と子育て・教育関連部局との共通言語、共通認識のスキマ
【スキマが生じる原因】
・各部局の行政担当者が、そもそもスキマがあるとは考えていない。
・行政職員がそれぞれの所管分野、権限の範囲内でしか対応策を考えないため、相互の課題の関連性を突き合わせることを考えたことがない。
【連携手法の案】
・都市計画、まちづくりと子育て支援策をつなぐ共通認識醸成のツールとして、市街化区域・居住誘導区域の図の上で、子どもの居住地や小学校立地、在籍児童数の状況を落とし込み、一覧で現状と近い将来を可視化できる資料を共同で作成する
【効果】
・各部局職員が共通の課題認識を持つことで、単独では実現できない効果的な対策を連携して講じることができる。
③子育てしやすい住宅の認定制度の目的・理念と実際の効果のギャップ
【スキマが生じる原因】
・自治体の認定制度の実績の多くは分譲マンションであり、子育て期間が終了しても次の子育て世代に利用されにくい(何十年も市場に出てこない)可能性が高い。
・現在主流の共働き子育て世帯が求めるような賃貸住宅と実際に整備・供給されている多くの賃貸住宅とのソフト(サービス等)、ハード(質)の需給ギャップ
【連携手法の案】
・共働き世帯への直接的な支援策であると同時に、良好な既存子育てインフラを再活用するためのツールでもある、子育て世帯だけが子育て期間だけ入居できる子育て支援サービス付きの賃貸住宅を活用する。
【効果】
・子育て世帯が、子育て期間中に、生活の本拠である住宅で支援サービスが提供される環境を備えて安心して暮らせるような住宅の増加
・何かとストレスの多い子育て世帯同士のコミュニティづくりに寄与する。
・住宅の子育て向けハード(施設、設備等)が、常に子育て世帯に利用される。
今後の研究方針
・子育「ち」環境における「X-minutes City」の検討
・子育「ち」環境実現に関する共通のネック、課題についての対策の検討
・子育て世帯が安心して暮らせる住宅の普及や制度化に向けた検討
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