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2026/06/26

IUD

都市における「持続可能なアートのエコシステム」構築研究

弘前れんが倉庫美術館(青森県・弘前市)、設計:田根剛

文化の力が人を惹きつけ、都市の未来をつくる

本調査研究は、「都市と文化・クリエイティブ産業研究委員会」での議論を礎として、2014年より継続している調査研究シリーズです。ロンドンでの調査を皮切りに、ニューヨーク、東京、そして日本各地を巡るフィールドワークを通じて、都市とクリエイティブ産業の相関を紐解きます。

人や才能を惹きつける「マグネットとしての文化力」の本質を検証し、12名の現代美術家やアーティスト、現場で活躍するプレイヤー、有識者らへのインタビューを重ね、持続可能なアートのエコシステムを構築する道筋を明らかにしています。現場の「生の声」から、日本の都市が持つ文化的な可能性やクリエイティブ能力の高さ、未来の展望を浮き彫りにします。

なお、東京および日本における研究成果は、2023年2月に鹿島出版会より書籍として刊行しています。

「都市をイメージしようとしたときに思い浮かぶのは、単に建物やビル群のスカイラインだけではないだろう。重要なのはそこにあるカフェや洒落たレストラン、演劇、美術館、ギャラリーなどに通う人々のありようだ。重要なことは都市がライフスタイルを育むが、またライフスタイルが都市の形を規定するということだ。ではそのライフスタイルの背景は何かといえば、それは文化である。文化は古いものと新しいものの双方がバランスしていなければ生き残れない。都市はそれを体現する。」 ―― 本書より、森美術館特別顧問 南條 史生

第11回 都市ビジョン講演会 の開催

2023年1月23日には、書籍『文化の力、都市の未来』の出版を記念し、第11回都市ビジョン講演会を開催いたしました。

特別講演では、本書のインタビュイーである現代美術作家・杉本博司氏をお招きし、「ArtTalk」を実施。自然や宇宙を体感し、アートと場とを創造する氏の活動を、江之浦測候所などの事例をもとにお話しいただきました。基調講演では、文化庁文化戦略官・芸術文化支援室長の林保太氏を迎え、日本における文化政策の歴史と、新たな挑戦について解説いただきました。

続くパネルディスカッションでは、本研究会委員の南條史生氏(森美術館前館長)、稲蔭正彦氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授)、中島直人氏(東京大学大学院工学系研究科 准教授)に加え、林保太氏が登壇。モデレーターの小林重敬氏、山中珠美を交え、「クリエイティブな活動が、都市固有の文化をいかに醸成し、都市の個性をどう確立していくのか」というテーマのもと、専門的知見から多角的な提言がなされました。(※肩書は2023年開催当時)

「文化・クリエイティブ産業の育て方」シリーズ概要

ロンドンサーベイ

ロンドンについては、2012年の夏季オリンピックを契機として、自国のクリエイティブ能力を世界へ発信し、都市ブランドを再構築した点に着目しました。本調査では、現地の有識者9名、アーティストやクリエイター6名へのインタビュー、および関連データの収集・分析を実施しました。

都市の魅力を高める「マグネットとしての文化力」の本質を、インフォグラフィックを用いて示し、さらに日本が取り組むべき6つの戦略的提言を、導き出しました。

ニューヨークサーベイ その1

世界最先端のクリエイティブな都市、ニューヨーク。本調査では、ビジュアルアーツとパフォーミングアーツ(BAMやブロードウェイなど)に焦点を当てました。15名の有識者、アーティストらへのインタビューを通じ、クリエイターの実態や教育現場、さらに寄付や投資の仕組みについて分析しました。

文化やクリエイティブ産業が、都市の成長をけん引するエンジンとして機能するエコシステムは、東京が創造的都市として発展するための重要な指標となります。

ニューヨークサーベ イ その2

ニューヨークにおける文化を創造する場づくりの戦略に焦点を当て、特に成長著しいブルックリンの先進的なプロジェクトを現地調査しました。24名の有識者・施設責任者へのインタビューを通じ、文化を育み発信する都市空間のあり方を分析しています。

ニューヨークが文化をゼロから生み出し、世界へと発信させる仕組みや、活気ある現場の様子、さらに、それらの活動を支える都市空間づくりの方法を、現地の最新情報を元にまとめています。

コミュニティの形成から、文化を育てる「場づくり」へ

ミナガワビレッジ(東京・表参道)、設計:再生建築研究所

2026年度は「文化の力、都市の未来」の続編として、アートのエコシステムに不可欠な「人のつながり」や「社会システム」を形成し、物理的に実現する建築空間および都市空間のあり方について、東京・日本の事例を中心に調査研究を進めています。なお、本研究の成果については、2027年3月に鹿島出版会より刊行を予定しています。

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