コミュニティ・グリーンとコミュニティ・クリエイティブによる持続可能な都市づくりの研究

これからの地域・まちが備えるべき条件として、今後重要視される環境配慮や、そこに展開されるイノベイティブな空間づくりが求められます。
オフィスとオフィス街のこれからのあり方や、市街地内に様々に入り込む「自然・グリーンの場」について、また、「コミュニティ・グリーン」「コミュニティ・クリエイティブ」が適切に融合された次世代の「まち」のあり方に関する調査研究を、2020年度より行っています。
コミュニティ・グリーンとコミュニティ・クリエイティブ
大都市中心部の次世代の姿について考えるとき、グリーンやクリエイティビティの質は都市の競争力や活力に影響を与えると考えられます。知識経済社会へ移行する中で、従来のオフィスの中だけで行われるイノベーションには限界が見えているといわれ、積極的に「まち」に出て、多様な、かつ、高度な知との接触機会が必要になっています。そのために、これまで重視されてきた「オフィスの質」に代わって、「まちの質」が重要です。
「まちの質」には様々な要素が関わりますが、昨今では、人にポジティブな効用をもたらすと言われている緑豊かな空間が用意されていることが重要であり、人の創造性にはこうした緑の存在が深くかかわっているのではないかと言われて、それを意識した建築や都市が現れてきています。本研究では、「人の創造性」には「音」も深く関与しているのではないかと捉え、音や緑の要素から「まちの質」を考えています。
コミュニテイに存在するグリーンを中心とする物的な構成内容(例:緑地、街路樹)や、持続可能性を実現する仕組みと仕掛け(例:交流機能、エリマネ)を総じて、「コミュニティ・グリーン」という言葉でまとめます。
また、緑あふれる空間でクリエイティブな人たちが徒歩圏内で出会い、高度な人材そして多様な業種が集積してシームレスな関係性が展開され、都市の経済が活性化することで、そのエリア一帯でこそ目指すべきイノベーションを起こすクリエイティブなコミュニテイが展開すると考えています。
緑が人にもたらすポジティブな効用
音が人にもたらすポジティブな効用
オフィスの質からまちの質へ
本調査研究の議論を発展させるため、2024年度の都市ビジョン講演会では「オフィスの質からまちの質へ」というテーマで開催しました。第1部は小林重敬氏や涌井史郎氏、大街区協議会(東京・港区)関係者からのインプットトークで、グリーンを基調にした話を、第2部は吹田良平氏、豊田俊雅氏、山中崇氏によるパネルディスカッションを行いました。「まちの質」を高めることは、「まち」全体ではなく、ある一定の限られたエリアの質を高めることから始めるべきで、さらにそのエリアにはエリアマネジメント組織のような「まちの質」を高めるために常に働きかけをしているエリア組織が必要であること。また、エリア組織が賑わい、集客以上に注力すべきテーマがあり、それはエリア内の「接続の発現や接続の質」を高めること、というような議論が展開されました。
今後の研究計画
海外を中心としたグリーンとクリエイティビティに関連する既往研究の把握を進めるとともに、都心の研究開発拠点施設やスタートアップ拠点施設等で活動するワーカーや、施設の設計担当者へのヒアリング調査を行い、これまでの小委員会で取り上げた研究仮説等に対する意識調査等を行い、その結果を基に考察を行っていく予定です。また、都心においてこれまで作られてきた緑の空間、クリエイティビティ発揮を促す仕組み(建物内外)の現状の調査・評価を行うとともに、今後展開予定の再開発プロジェクトにおける新たなグリーンとクリエイティビティの関係の設計方針等についてヒアリングを行いたいと考えています。





