港区の環境カルテ
発行日:1999年5月
言語:日本語
書籍版:1,650円(本体価格1,500円+税)
都心に位置する各区は人口減少に悩んでいる。そしてその対策として、子供2人、両親2人、合計4人の核家族を何とか増やそう としている。しかし、そのような家族が本当に外から転入してくるのであろうか。子供はこれらの都心区で幸福に育ってゆくので あろうか。子供の生活実態を知らずに、核家族を増やそうという行政の姿勢は問題があるのではないだろうか? この報告書は、このような問題意識の下に、港区の子供の実態調査を行った。
この調査で、港区は中堅所得労働者層にとっては住居費が高く、また、子育てファミリーが居住しやすい面積、間取りの住宅が少ないという事実が浮かび上がった。しかし、ファミリー向けの官舎では、子供が非常に多く居住しているという結果も得られた。
港区が子供を増やす為に、税金を投入してまでも住宅を供給するとなった場合は、港区内でも居住環境が整っており、比較的地価が安い地区で供給することが必要であろう。しかし、投入額の割には効果が小さいということも、今回の調査でわかった。かつては、欧州各国でも少子化問題は議論の的となっていた。しかし、社会福祉制度を充実させる等の対策によって、一時的にではあっても合計特殊出生率が増加に向かった例もある。
将来、都区制度が改革され、港区も普通地方公共団体として一人歩きすることになる。そうなれば、自己責任の下、港区は自らの 将来像を描かなくてはならない。その時には、子供を増やすのかどうかという答えも見えてくる。
まちづくりを進める上で、少子化問題を避けて通る事ができない現在、本書がその参考となれば幸いである。