港区の環境カルテ
発行日:1992年11月
言語:日本語
書籍版:2,200円(本体価格2,000円+税)
古川地域は、港区の内陸部のおよそ5分の1を占めるかなり広い地域である。しかも港区の中心部にあって、古川沿岸の低地部という地理的条件を持っており、他のいわゆる谷戸部分とは違って、歴史的に形作られた特別の市街地の性格を持っている。
外側からの影響を受けながら変わってきたとはいうものの、古川沿岸の庶民型の商業と工業の混在地域は、依然として東京都心地域における下請的機能を持つ、職人の街としての性格を残している。もちろん現代的な職人がかつての職人でない。コピーライター、或いは映像処理技術者、デザイナー、経営コンサルタント、プロダクション、それに芸能人、こうした職種は、新しい現代の職人集団と言えるのかも知れない。
堅気の職人と浮き草家業の職人とが小さな鉛筆ビルを拠り所にして集積しているこのような街は、東京にとっては欠くことのできない重要な存在であるだろう。