森記念財団理事
「世界の都市総合力ランキングGlobal Power City Index」(GPCI)の総合順位をみると、東京4位、シンガポール5位、ソウル6位という結果がここ2年続いている。GPCIでは市域を対象に都市の強みと弱みを整理しているが、本日のセッションは都市全体ではなく、各都市の都心戦略がテーマである。そこで、森記念財団が2010年にまとめた「世界の都心総合力インデックスGlobal Power Inner City Index」(GPICI)から各都市の都心の現状を見てみよう。GPICIでは都心の力を中心部から5km圏、10km圏の範囲で評価している。
GPCIではトップはロンドン、2位ニューヨークだが、GPICIでは5km圏のトップはパリで2位が東京となり、シンガポールはソウルよりやや強い。また10km圏では、同じくパリと東京がツートップで評価が高いが、5km圏と異なりシンガポールよりもソウルのほうが評価が高い。つまりシンガポールの都市機能集積は5km圏に特化しており、10km圏ではシンガポールよりソウルが上回っている。
GPICIでは都心における機能の集積が少ないと評価は下がるが、逆にコンパクトになっていれば、また違う力として評価される。シンガポールはよりコンパクトで、大半の都市機能が5km圏内にある。特にマリーナベイの中心部とシティホール周辺の集積が高く、結果的に5km圏内で大半の都市活動がおこなわれている。国際空港も都心に近いのが東京、ソウルとは違う点である。
一方、シンガポールは、全体の規模は大きくないが比較的バランスがとれた都市である。
ソウルはシンガポールと同じくバランス型の都市である。ソウルの都心エリアをみると、漢江の北側エリアの清渓川周辺、市役所周辺の旧市街に都心機能が最も集積している。これに対して、漢江の南側の江南エリアには近年になって都市開発による機能集積が進んでいる。さらに金浦空港の拡張もあって、汝矣島エリアも動き始めている。このようにソウルは、規模の大きな複数のセンターがあり、各々のセンターで都市開発が進んでいる。
東京は5km圏の都心エリア以外にも、池袋、新宿、渋谷等の「副都心エリア」に機能集積があり、さらに20km圏に拡大しても一定の集積がある。すなわち東京の都心機能は非常に大きいだけでなく広がりを持っており、いくつかのサブセンターがあるとともに、各々のセンターの集積が大きいなりにコンパクトである。一方、ホテルの少なさやエアポートアクセスの遠さは弱みとしてはっきり出ている。
21世紀前半の今日、世界の都市の力は都心が決めるという時代になりつつある。このことは3都市と同様に、香港でも上海でも北京でも同じように起きていることだ。本日は、アジアを牽引する東京、ソウル、シンガポール、この3都市の都心の発展戦略や都市政策について、各都市の都市政策、都市開発のキーパーソンを招いてディスカッションを行い、これからの都心戦略の方向について知見を得たい。
六本木ヒルズも十周年を迎えることができ、様々な記念事業を展開している。キーメッセージについてはいろんなテーマを考えたが、やはり森ビルはこの東京に地に足をつけてやっていくのだという意味も込めて「LOVE TOKYO」というテーマで様々な催しをやらせていただいている。春にはフランスのイベントを誘致したり、LOVE展という「愛」をテーマとした展覧会を森美術館で開催した。また、森ビルが作成した東京の都市模型のラッピングをモチーフとした映像(トウキョウ・シティ・シンフォニー)の制作にも取り組んだ。これらは森ビルが都市に真剣に向かい合うという姿勢を示すとともに、都市は楽しくなければいけない、いろんな人を惹きつけなければいけないという考え方を表現したものである。こういう都市を我々は「磁力ある都市」と呼んでいる。
一民間企業である森ビルが「東京を世界で一番の都市にしよう」という新聞広告を今年の元旦に出した。これは今後も官民が一体となって、都市づくりに関わるいろんな方々と一緒に仕事をしていくことが大切だという思いで制作した広告である。
この思いに至った背景には、世界の都市間競争の中で東京がどう勝ち残っていくのかが非常に大きなテーマだと痛感しているからだ。故森稔前社長は20年近く前から「これからは国の競争でなく世界の都市の競争だ」と言い続けてきたが、都市はいろんな要素を備えた「総合力」が重要だ。その中で東京が世界でどういう地位にあるのか、都市づくりの観点から東京はどうあるべきかを明らかにするために、私たちのシンクタンクである森記念財団が世界の都市総合力ランキングを2008年から作成している。この中で、東京の強みと弱みを明らかにしているが、森ビルは、この東京の強みと弱みをきちんと見定めた上で都市づくりをすべきだと考えて事業に取り組んでいる。
私たちは「都市をつくり、都市を育む」と言っているが、六本木ヒルズを事例に「磁力ある都市」の考え方を紹介する。
まず、ビジョン、デザイン、コンセプトをきちんと定めた都市づくりが重要である。そしてこれをデベロップメントとタウンマネジメント、いわばハードとソフトにきちんと落としていく。私たちの都市づくりの理念は「Vertical Garden City(立体緑園都市)」と呼んでいるが、建物を高層化させ足下を豊かに創ることで『空に希望を。地上に緑を。地下に喜びを。』を実現している。そこには居住施設や文化施設も含めたいろんな機能が複合した街、それをコンパクトに集約させた街、それがこれからの都市には必要なのではないか。
六本木ヒルズは数多くの海外のデザイナーとのコラボレーションでつくっている。また、森アーツセンターという文化施設を最も資産価値の高い最上階にあえて設け、これを街のシンボルとしている。そしてここから様々な情報発信をする、これが都市として非常に重要であると考えている。
自家発電施設も導入し、安全、安心の確保にも力を入れている。環境配慮を重視し、徹底した屋上緑化を進め、田んぼも設けて潤いを創り出している。
また、ソフトに関しては、街を活性化するためのいろいろなイベントを仕掛けている。 東京国際映画祭などのビッグイベント、伊勢神宮のお木曳や田植えなど日本の歴史風土を活かしたイベント、夜通し楽しむ六本木アートナイトなどを通じて街を活性化させハードとソフト両面で街づくりを進めている。
日本経済を再生するには都市再生が重要である。そのためには都市の磁力を高めて、世界中から、人、モノ、金、情報を惹きつけることが必要である。しっかりしたコンセプト、ビジョンを持って都市づくりに取り組むことが大事だ。
安倍政権の下で国家戦略特区の導入が実現しようとしている。その中で東京都は「世界で一番ビジネスのしやすい国際都市づくり特区」を提案している。また森ビルを含めたデベロッパーも事業提案をしている。
森ビルが取り組んでいるエリアは港区を中心に様々なプロジェクトを展開している。このエリアで国家戦略特区の事業提案をした。ビジネス、生活、文化、交通インフラの4本の矢を実現していくことで、世界の都市間競争に勝つための都市づくりを進めるつもりだ。
国家戦略特区の大きなポイントは、エリアを限定し、医療や教育、都市計画の分野など、これまで「岩盤規制」といわれている規制を緩和し、都市づくり、企業誘致、さまざまなものを進めていこうという考えである。
このエリアの中核プロジェクトが「虎ノ門ヒルズ」であるが、これは終戦直後に都市計画決定された東京都の幹線道路「環状二号線」と建物の一体的整備である。これまでの用地買収による道路整備でなく道路の上空に再開発事業により建物を整備するものである。我が国では初めての取り組みであり、今後の東京の都市づくりにおいて非常にいい事例になると思っている。2020年に東京オリンピックが開催されることが決まったが、環状二号線はメインスタジアムとオリンピック会場を結ぶ基幹道路であり、これに様々な交通手段を絡めることで、都心エリアの人の流れを変える、非常に重要な交通インフラになるはずである。
国家戦略特区により、国、地方自治体、民間事業者が一体となって都市づくりに取り組む仕組みが整いつつあるが、その流れの中で2020年東京オリンピックが決まり、都市づくりの大きな目標ができた。これは東京にとって極めて大きなチャンスだ。オリンピック期間だけの波及効果に終わらせるのではなく、先ほどの国家戦略特区をベースにして、きちんとした都市整備、都市づくりをし、世界の都市間競争に勝っていくという道筋をつけるべきだ。それに向けた最大かつ最後のチャンスであると思っている。
21世紀に入ってからの新たなアーバニズム、都市開発のパラダイムシフトが世界的に起こっている。つまり20世紀においては都市のスプロール現象があり、首都圏がどんどん拡大した。しかし、今日では都市のスプロールから、コンパクトシティへと変容している。
また、用途に応じて土地利用を分離させることから複合的な土地利用へ、これらは六本木ヒルズで実現されている。また、自動車中心の都市から公共交通と歩行者中心へ、失われた隣近所の付き合いを復活させ、同時に荒廃した都市の中核地域の再生という動きが出てきている。
韓国においても社会経済的なトレンドの大きな変化があった。日本と同様に10年以内に人口減少に転じると予測している。その中ですでに93%の人口が都市部に居住し、都市化は終焉した。また、不動産バブルとその崩壊を経験し、高齢化も進んで65歳以上人口は20%を超える。一方で世帯規模の小規模化が進んでおり、単身世帯、単身者用住宅が増えている。また、いわゆるJターン、Uターンという現象で都市の人たちは農村部に回帰している。
こうした背景を受け韓国における都市政策も変化した。まず、都市のスプロールによる郊外の住宅開発から都市中心部の再生へと向かっている。都市部の古いアパートや団地の建て替えを進めている。また、建て替えるのではなく既存の住宅の改造、改修が進んでいる。また、十分利用されていない中心部の土地や荒廃した都市の中心部、例えば鉄道ヤードや工場跡地に低所得、単身者向けの住宅開発を行っている。
韓国における都市政策の全体像はこのように転換しているが、土地利用の複合化や垂直利用を進め、不動産も所有から賃貸に転換するため、2008年に都市再生法が制定された。
次に、こうした都市の中核となる中心地域の開発事例を紹介する。ソウル都市圏は全体で2500万人の人口を擁している。ソウル市は東京と違い、周囲を山で囲まれており、都心エリアは地理的には狭く、東京でいえば千代田区、中央区ぐらいの大きさである。南山と北漢山の間が3~4km程度の幅で、ここが旧市街である。この中核地域の4km四方のエリアでこの10年間に8件のプロジェクトがおこなわれた。
昔は渓流があった場所で、10年前までは高架橋の上で高速道路が通り川は暗渠で覆われていた。この高架橋を撤去し清渓川という清流を取り戻した。最初は大変な議論を呼んだが、いまではこのような清渓川という清流が取り戻され市民の憩いの場となり大変喜ばれている。
ソウル市の中心部の周囲をぐるりと取り巻く城壁を再建している。全体で十数キロにわたっている。
1965年に韓国の著名な建築家が設計して建てた、一つの建物が1,800mの長さの「ソウルの秋葉原」と呼ばれる建物がある。1階、2階のショッピングモールに秋葉原のように電気街があり、上がアパートという、垂直方向の混合利用がされ、そして両側が緑化された、当時大変革新的なものだった。しかし建築後50年が経過し、周辺地域もかなり荒廃してしまった。そこでソウルはこれらを刷新しようとしている。言ってみれば、秋葉原の刷新計画ともいえるプロジェクトである。
李王朝の宮殿である景福宮があり、その宮殿の正面の光化門につながる高幅員道路を、歩行者もゆったり歩けるシンボルロードとして再整備した。背後に北岳山を配し、ソウルでもシンボル的で華やかな通りとなっている。北京の紫禁城に似ており、紫禁城の小型版とも言える。
飲食店、あるいはさまざまな歓楽施設がある、かつての歓楽街で、ソウルの銀座にあたる地域であるが、これを、観光客なら絶対に一度は来るべき街という形で刷新した。
ソウルにおける歴史的なマーケットとしては最大の南大門市場だが、老朽化した建物、狭い道路、駐車場不足といった問題をかかえており、これを改善しようとしている。
都市の中心部の乙支路ストリートにおいて、デジタルアートの街、また芸術の街という形で改修を進めデジタルダウンタウンプロジェクトを進めている。ここはITというものを超えて、さらにアートとカルチャーも一体化し、様々な文化的なイベントを開催しようとしている。
繊維問屋や衣料品店の集積した街の近くにスタジアムがあったが、これを閉鎖し、ワールドデザインパークを建設している。間もなくオープンする。新しい形の衣料、デザインの中心となる。アジアの発展途上国からソウルにやって来た人たちはおしゃれな洋服を買ったりしており、ソウルはミラノやフィレンツェといったような、いわばアジアのイタリアのようになっている。
シンガポールの人口が530万人に対して東京の首都圏人口は3,670万人とはるかに大きい。しかし人口密度はシンガポールの方が高く、その高密度の中で優れた都市環境をどうつくるかがシンガポールの課題である。
近代都市は、大規模化、高密度化、高層化が進み、変化のスピードが速い。また都市生活は複雑化しているが、消費者主義が高まっており、都市は消費者にエキサイティングなものを提供しなければいけない。プランナーはこれに応えなければいけない。こういった課題にシンガポールがどう応えているか。この問題について、アナトミー・オブ・シティ(都市構造の解明)という切り口で「家族としての都市」「都市の主要な構成要素」「都市と郊外の関係」「商業センター」の4つの観点から説明する。
プランニングをするときはまず人口規模を考え、都市を家族に例え、規模に応じて都市計画や施設を考える。人口200~300万人であれば、自主的で独立した都市で、それ以下は地域、ニュータウンである。つまり都市というのは大人で、結婚して仕事を持ち、自分と家族をサポートし、親に小遣いはもらわない。都市ほどの規模ではない地域や近隣住区は都市の様々な施設やアメニティに頼る。
人口が200~400万人の都市はいくつかのリージョンに区分できる。リージョンを囲んでグリーンベルトをつくり、自然と常に隣接する環境が重要だ。シンガポールはよくガーデンシティと呼ばれるが、密集したビル街の周囲にグリーンベルトを様々な地区の周囲に配置しているからだ。そのほかにニュータウン、そして特にクリーンな産業地帯を誘致している。シンガポールは都市国家だが、適切な量の施設と交通システムを提供することでいくつかの地域と新たな町に分割ができる。また商業センターを分散させて住宅地に近接させることで交通渋滞もない。
商業センターもいろいろな階層で組み込まれる。まず都市にとって重要な商業中心(CBD)があり、ほかにリージョナルセンター、タウンセンター、近隣住区センターがある。そしてタウンセンターには近隣住区センターの機能を包含させ、リージョナルセンターにはタウンセンター、近隣住区センターの機能を包含させる。つまり、近隣住区に住む人も、より大きなタウンのいろいろな機能を使えるということである。
人間の臓器が重要な機能を果たすのと同じく都市にもオーガン(臓器)がある。例えば重要な港湾、空港、重工業、鉄道などがそうで、それらがベストの機能を果たし、生活に悪影響を与えない配置が重要である。そのために、インフラストラクチャー、エネルギーがある。
シンガポールは公共交通が主体で、メトロラインの接点が重要な商業中心になる。CBDを囲んで周辺の拠点にもメトロラインを通し、自動車ではなく地下鉄で郊外の拠点からも簡単にアクセスできる。各種の都市機能が、お互いに矛盾や対立をしないようにレイヤー(層)をなして、調和の取れた都市構造に計画されている。
シンガポールは1991年のコンセプトプラン、この基本理念と原則に基づいて計画されている。市域を100万人ぐらいの5つのリージョンに区分し、高速道路と地下鉄で中心とつないでいる。中心に速くアクセスできる合理的なプランであると同時に、歴史的な遺産も守りつつ、芸術性、アーティスティックな側面も常に重視している。
CBDも急速に開発することはなく、1974年から2007年まで、建築も時代時代でスタイルを変えながらずっと建設活動が続いている。これは商業の発展が遅いのではなく、各リージョンやタウン、近隣住区に合わせた開発を手掛けてきたからだ。総合的な商業的開発はすばやく進めたが、個別のセンターは開発を急ぐ必要はなく、ゆっくり、慎重にデザインをし、そして最適な開発をしてきた。
アジアには多くのメガシティがある。上海は300万から400万の都市5~6個の集合だと考えることができる。上海の中心に行かなくても、それぞれ独立生計が立てられる。中国の珠江デルタはさらに大きく、3,000万、4,000万をはるかに上回る人口を抱えている。それに見合う都市を構成していくには都市を拡大家族として考える。メガシティがいくつか集まってコンストレーション(集合体)、それが集まってアーバンミルキーウェイとなっているのが珠江デルタだ。
メガシティをしっかり計画をすればメリットが大きい。人材も豊富で、タウンやシティがあり、それグリーンベルトで囲むことで、自然にあふれた都市を構成できる。革新的な都市中心(アーバンコア)の戦略というのは、単一のアーバンコアでなく、都市全体としての構造をまず考え、一つの都市があまり肥大化、巨大化することを押さえる。そのために星座型の都市、銀河系のような都市を考え、必要以上に1つの都市中心を巨大化させることはしない。
都市を分節化して、セルやオーガンのようにそれぞれの機能を持つ区域を構成し、商業センターに近接させ住民があえて遠距離に出かけなくても日常生活に困らない、かつ自然にも親しむ。この構造により都市全体ではエネルギーや時間も節約でき、それだけ家族と一緒に家庭で過ごす時間が増えるというように、メリットが多い。
特にアジアでは都市の肥大化をどうコントロールするかが重要なテーマであり、都市を集合体やアーバンミルキーウェイに例えたこの考え方によりメガシティ問題を解決できるはずだ。
日本の人口は2005年に減少し始めたが、一都三県の東京圏の人口は増加し、特に東京における都心回帰が著しい。さらにバブル経済崩壊後は地価が下がって持家率が上昇し、都心の空洞化の反動として人口が増え、都心の機能更新が始まっている。ソウルも同じく都心のリジェネレーションが始まり、そのための法整備もされた。シンガポールの現在の繁栄はまさに都心の計画的な整備によるものである。都心の発展戦略の観点から議論を進めていきたい。
都市再生法(Urban Regeneration Law)の施行に加え、都心は高齢化に対応して医療機関など高齢者にとって利便性が高いこともあり、ソウルでも都心回帰現象が見られる。その一方で、家族の人員数の減少から最近は大型アパート(4LDK)の方が小型アパート(2LDK)より値段が安くなった。空き家は改装して商業施設に転用している。また、ソウルは大気汚染が深刻化しており、政府が自動車の利用をできるだけ抑制し、公共交通機関の利用を推奨している。
2011年に総合特区法で国際戦略総合特区ができたが、今回の政権交代で総合特区に国家戦略特区制度が加わり、首相と担当大臣のリーダーシップのもと、東京都と民間事業者のパートナーシップにより開発推進するための仕組みが整いつつある。これまでの制度では積み上げ型で進まなかったので、国家戦略特区ではトップダウン型で物事がスピーディーに決定・実行できるよう期待している。
シンガポールの政治はクリーンな、しかも開発志向の単独政党によって推進されているため、歴史的に他国より政策運営がしやすい面がある。過去には1960年代に大気汚染を引き起こすような企業の進出を禁止したほか、遮熱ガラスの導入が1970年代にあった。特に水の供給はかつてマレーシアに全面的に頼っていたため苦労したが、今日では海水の淡水化や汚水処理の技術が進み、水の自給体制が整った。
世界の都市総合力ランキングにおいて東京は4位だが、シンガポールとソウルが猛烈な勢いで追い上げてきている。特にシンガポールの都市づくりの動きはスピーディーで、政府から民間への意思伝達が極めて迅速に行われていることは高く評価でき、東京も見習うべきだ。