東京中心部における再開発の研究

続CANAL Town構想 -新下町型住宅市街地の形成-

発行日:1990年8月
言語:日本語
書籍版:1,650円(本体価格1,500円+税)

住む人の減少と遠距離通勤が東京のインナーシティー問題とされ、都市やその周辺での住宅整備が課題としてあげられることが常となってきた。 東京の中心部でもパリやマンハッタンのように土地を有効に使えば、居住環境を整えながら良質の住宅を増やしていくことが可能な地区が少なくないと思われる。
このパンフレットで取り上げた都心に隣接する江東区南部の運河に囲まれた地域は、今日まで物流機能の集積地として、都心や下町の諸活動を支えてきた。 続CANAL Town構想は、このような状況の中で、用途転換が進むと見込まれる運河沿いの地域を新しい空間構成の住宅市街地に造り替えていこうという提案である。
水辺を活かした住宅を主とした新しい職・住・遊の複合市街地が出来上がれば、東京中心部における職住近接再開発のモデルとしての役割を果たすことができるだろう。 また、夢の島の周りの大公園化もぜひ実現してほしいものである。 ロンドンにはハイドパーク、パリにはブーローニュの森とバンセンヌの森、ニューヨークにはセントラルパークと、都心部に隣接して市民が憩える大公園がある。 都心部の高密度な土地利用とこうした広大な公園との併存が世界都市としての活動をスムーズにしているのかもしれない。 東京では都心部に最も近い大公園整備が可能な地区はこの地域であろう。
こうした市街地の実現には時間が掛ることと思うが、まず遊休地で着手し、続いて土地利用転換を図る土地を順次再開発していけば、実現は可能だろう。 この構想をたたき台にして、この地域の整備プログラムが早急に作られることを期待している。