文化都心構想
発行日:1991年10月
言語:日本語
書籍版:2,530円(本体価格2,300円+税)
東京の新しい都心像を考えるときに、文化の視点をはずすわけにはいかない。経済的には、胸を張って「東京は世界都市だ」と言うことができます。 しかし、いまだ「国際文化都市だ」とは言えないだろう。ファッション、工業デザイン、一部の建築とかの現代日本文化が世界的に評価され始めているが、都市文化という点ではまだまだである。 そろそろ、流行だけには終わらない、熟成化に向かう都市文化づくりに取り組む時期に来ているのではないだろうか。
歴史的遺産、街並みというような静的都市文化だけでなく、人々の都市生活、都市産業の中に活きづく継続的な文化活動も重要である。 現在、原宿~青山地区に集積するファッションデザイン当の都市型文化産業が、持続、発展するような仕組みを街としても整えなくてはいけない。
古くは「町屋」という型で、都市居住と都市産業が結びついていた。アーバンスモールハウジングという形式でその萌芽は見られるものの、まだ「現代町屋」というスタイルが確立されていない。
「文化的香りの高い街並み」、「都市型文化産業の育成」、「都心住宅」の三つの課題に応えられるよう「立体町屋」を提案した。 その様式については、パリとか南欧風とか、ニューヨーク等の借りものの部分も多いが、その組み合わせの中で、日本的、東京的都市風景になった。立体町屋のいくつかの建築様式が確立し、それぞれの街でそれにふさわしい型で定着していくことを期待する。