東京中心部における再開発の研究

水辺都市の風景 新芝~高浜~京浜 運河から始まる水辺のまちづくり

発行日:1996年9月
言語:日本語
書籍版:1,650円(本体価格1,500円+税)

運河は荷物を運ぶという機能を失ってしまった。しかし、運河は”水の交通路”であると共に、私たちにさまざまな情緒をひき起こさせる不思議な空間である。はしけや蒸気船がけい留されている運河の光景は、しばしば絵の題材になった。小樽運河は”古き良き時代”のおもかげを再現して、観光客をひき付けるようになった。海に面するなぎさや波止場とは異なり、運河はそのある程度閉ざされた空間という特性から、私達の日常生活の場として使える可能性を秘めていると思う。大井のコンテナ埠頭に代表されるように、東京港の大部分の活動は、この港区から大田区におよぶ西側の埠頭地区で行われている。したがってここには、東京湾に直接面する市民に開放された海岸線は殆どない。それであるならば、山の手の人達が楽しめる水面は、これらの運河をおいて他にない。半分眠っているこの膨大な運河を、市民のためにもっと親しめるように工夫をしてみるべきではないか。そう考えてまとめてみたのがこの報告書である。