東京中心部における都市構造の研究

東京の現況と2015年の姿 -東京グランドデザインに向けて-

発行日:1995年3月
言語:日本語
書籍版:1,100円(本体価格1,000円+税)

高度成長期、オイルショック後の安定成長期、そしてバブル経済を経て、21世紀まで余すところ5年余りとなった時点で、 東京の街を今一度見つめ直し、どういう姿の街に造り替えていけば、市民が安全で、快適で、自己実現を達成しやすい都市生活をおくれるのか、その将来の街の枠組み、 すなわちグランドデザインを描くべき時期に到達した。
この報告書はグランドデザインに向けて、東京の人と世帯に関する現況データとその地区特性、 及び描くべき将来の人と世帯の予測をとりまとめたものである。描くべき将来をいつの時点にすべきかという点に関しては幾つかの考え方が有ろうが、我々は日本の総人口が2010年ごろにピークを迎えた後の、 いわゆる団塊の世代がすべて65歳に達してしまう2015年とした。
調査結果は、23区と一口に言っても、そこにすむ人は区によってだいぶ異なることを示している。 それは同心円状に異なっているのではなくて、川や鉄道や市街化の歴史などが影響しているようである。こうした地区特性を前提とした将来像を考えていく必要があろう。 又、東京の世帯が小規模化を続け、将来はもっとそれが進むこと、夫婦と子供1人または2人の、俗に言う標準世帯が多数派ではなくなっていくこと、高齢者の割合が急速に高まり続けること、 このままでは長時間通勤者がますます増大することなどを示している。こうした過去の趨勢と将来予測を見ると、高齢者や単身者が物的にも精神的にも安心して暮らせる23区にすることが、 これからの大きな課題であると言えよう。