東京中心部における再開発の研究
発行日:1988年5月
言語:日本語
販売終了
首都圏の既存の都市問題を解決し、また、時代の変化に対応した都市空間を創り上げていくためには、東京湾岸をいかに改造していくかが大きな鍵となってきた。
すでに私達が提案をしている東京湾国際文化圏の中央部に位置するコスモ・トーキョーのうち、13号地と江東下町の間に広がる有楽町線・京葉線沿いの幅広な地域(リニアゾーン)は、今は工場、倉庫、住宅が混じった地域である。 このリニアゾーンは、13号地や10号地などと違って、不十分ながらもある程度の都市基盤が現存し、加えて、有楽町線、京葉線の開通が目前に迫っており、再開発の機運は高まりつつある。 これから活発化する建て替えや機能転換を新しい時代に適合させていき、併せてこのゾーンの最大の特徴である運河を快適な水際空間に整備していけば、 そこには多くの人々が喜んで生活し、そしてハイレベルの国際交流活動と日本の伝統文化の双方の影響を強く受けながら、日常的な市民文化が育っていくであろう。
報告書の終わりに示した空間整備の図面は「キャナルタウン」の考え方から導き出したイメージに過ぎないが、このような発想を組み込んだ「キャナルタウン」をうまく創り出せれば、人々の住宅や職場の選択の幅が大きく広がっていくであろう。 このような既存市街地の望ましい変貌がなければ、東京湾国際文化圏が実体化していくということにはならないと考える。 東京中心部の諸問題の解決には、これまでの大きなプロジェクトと合わせて、周辺市街地の計画的再構成が必要であるいう主張を具体化したのが、今回の私達の提案である。