東京中心部における再開発の研究

東京24区構想

発行日:1993年6月
言語:日本語
書籍版:1,080円

都市の巨大化は既に上海やバンコクなどで顕著になってきてる。巨大化する都市の多くが海岸部に立地している。このような都市では海岸を埋立てて新市街地を造ることが益々盛んになって来る。そうした場合に、密度高く人が住み、様々な人が混じり合い、なおかつ活気に満ちて、土地利用も次々と変化していく、 そして公共用地もそれほど多くなく、環境の面で充分な対策がとられている、このような新しい都市の姿を実験的に考えてみる必要がある。東京が西欧の都市づくりの技術を身に付け、さらにその姿を発展途上国の都市の先達として役立てるという、真の意味での世界都市としての役割を果たすとするならば、 この東京港の埋立地をそうした方向で使ってみることも重要な観点になるだろう。
ここでは現在の地方行政制度の実情を踏まえながら、その運営システムを余り無理せずに改善し、活性化させる事によって、地域住民・地権者・自治体3者がより協調的姿勢で協力し合っていく行政のあり方を示した。 この行政の将来像を中心に据えて提案される行政システムについて、ここでは「24区システム」という言葉を私達は使った。
この報告書では、大規模な養浜海岸を対象地域の中心に据え、その周辺及び新しく造られる河川沿いには海岸林を大規模に創り出していく事を考えている。 これによって東京港に、都民のみならず南関東の多くの人が集まってくるレクリエーションの場を造りだし、それと同時に海面と海岸林が一体となって東京の都市環境の悪化を防ぐ事に役立てればと思っている。 そして、こうした都市づくりの課題を国際的に研究・実験する組織として世界都市財団を提案した。
このように、この報告書は東京港の埋立地を新しく生まれる発展途上国の巨大都市の先達としての使命と、新しく考えられるべき都市計画の職住共存の都市空間を造る試みの場として、そして都市環境改善の技術を実験する場として計画を組み立てていくという提案をした。